erp導入のメリット・デメリット

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erp

ERPって何?

時代は未だERPを求めるか
-イメージと現実の乖離-

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- 2015.07.25 -

Erpとは

ERPとはEnterprise Resource Planningの略です。
簡単に言えば、人・モノ・金といった資源を最適配分・活用する経営管理の概念です。
情報処理の世界では、ERPパッケージとして、広く浸透しています。
例えば、会計・人事・生産管理・営業業務等をパッケージ化したソフトを指します。
なお、CMでよく見る会計ソフトはその例です。

また、ERPソフトは金額・規模にかなり差があることも特徴です。
数万円~数十億円まで、幅広いラインナップが存在します。
導入には、erpのメリット・デメリットの把握が大切です。

erpのメリット

erpのメリットは、以下のようなものが挙げられます。

  • ①業務間の連携(例えば人事→会計への連動)が容易
  • ②メンテナンス/問い合わせ等の窓口を集約できる
  • ③他社の成功事例(優れた業務管理手法等)を自社に導入できる

①業務間の連携(例えば人事→会計への連動)が容易

ERPパッケージに含まれる各ソフトは、同一メーカーにより作成されています。
したがって、データ連動が(当然に)可能です。

他メーカー間のデータ連動機能で言えば、実装済みの低価格ソフトも随分増えました。
しかし、リアルタイム連携や詳細条件指定等、までの実装はまだ少ないでしょう。

「各業務(部署)の情報をリアルタイムに情報共有し、意思決定に活かす」
その点では、erpに利点があります。

②メンテナンス/問い合わせ等の窓口を集約できる

複数メーカーのソフトを利用している場合、問い合わせ窓口も増えます。
特に、前述のデータ連携では、支障が出ます。
「うちのソフト以外のことは分からないので・・」
メーカー窓口に問合せても、そのような対応をされることも多いでしょう。

また、ERPならば、業務が異なっていても操作方法が共通する箇所もあります。
(例:人事給与と会計とで、共通操作画面がある等)
したがって、ユーザーは操作方法の習得を最小限に抑えられます。

③他社の成功事例(優れた業務管理手法等)を自社に導入できる

多くのERPパッケージは複数会社の成功業務事例を参考にし、作られています。
(特に大会社が使うものは、効果があります)
またベンダーによっては、定期的なバージョンアップにより、最新事例を導入できます。

さらに、カスタマイズといって、自社流にソフトをアレンジすることも可能です。
(ただし、多くの場合、大会社用のERPです)

erpのデメリット

個人的には、以下のようなデメリットがあると思います。

  • ①カスタマイズのための開発費がかさむ
  • ②実は、情報共有が必要な場合は少ない

①カスタマイズのための開発費がかさむ

大企業がERPを導入する際、最もネックとなる部分がカスタマイズ費です。
たしかに、erpは成功事例(※)を提供できるという強みがあります。
(※しばしば、ベストプラクティス=BP、と呼ばれています)

しかし、自社には自社の文化・経営理念等があります。
よって、BPが自社の業務に当てはまらない場合も多く存在します。
そこで、カスタマイズ(※)が必要となるわけです。
(※自社業務に合せるための、新規プログラム開発・仕様変更等)

「基本機能を少しアレンジするだけだから、それほど開発費も掛からないだろう」
そんな目論見の元、erpを導入したとします。
しかし、蓋を開けてみれば・・という事態に陥り、多大な開発費に困惑する場合もあります。

②実は、情報共有が必要な場合は少ない

ERPパッケージの利点は、その情報共有性にあります。
しかし、使いこなせなければ、意味はありません。

  • 「会計情報を活かして、採用・教育予算を・・」
  • 「販売/購買実績を元に予算計画を・・」

などとリアルタイムに議論する場面が想定されます。
しかし、(特に中小企業では)実際活用できる場面は限られるでしょう。

一方、BPにより、思わぬ有効情報もあるのでは?という意見もあるかもしれません。
しかし、情報取得はERPでなくとも、可能な場合も多いのではないでしょうか。

erp導入の決め方

一口にerpと言っても、メーカーによってセールスポイントは様々です。
大別すれば、以下に分けられるのではないでしょうか。

  • ①経営情報取得を強みとするタイプ(対経営層向け)
  • ②日常業務/低価格を強みとするタイプ(対一般担当者向け)

①は経営層が意思決定に役立てるためのシステムとして、ERPを位置づけます。
そのため、各種経営分析帳票の充実に力点を置く傾向があります。
比較的グローバール企業をターゲットとしている場合が多いと思われます。

他方②は本来のERPの目的からは、外れています。
「単なる業務ソフトに過ぎないが、ERPという冠を付ければイメージが良い」
と言えば、理解し易いかもしれません。
安価なERPはこれに該当する場合が多いと思われます。

上記いずれを求めるかは、経営者の考え方次第と思われます。

自社にerpを導入するならば

自社にerpを導入する際、賢明な一手段は、カスタマイズをしないことです。
つまり、標準機能のまま、パッケージソフトを使います。

通常、ERP導入企業は、自社業務に合わせるため、新機能を開発しようとします。
(そして、これがITベンダーにとって、収益源となります。)

しかし、自社の業務を標準機能に合わせれば、カスタマイズは不要です。
erpがBPを実現しているならば、標準機能のまま使うことが理に適います。

また、情報は陳腐化し易いため、カスタマイズ要望は次々に発生します。
であれば、カスタマイズではなく、誰もがメンテし易いACCESS等の方が優れています。
今後、経営情報に更なるスピードが求められるようになれば、尚更です。
導入には、迅速性・将来性・拡張性も考えることがポイントと言えます。

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