ネットショップ経営者は静観か。

IT

日本郵政とファミマ

訪日外国人の越境EC

コンビニから国際輸送
-現状は静観。将来性に期待-

IT

- 2016.04.14 -

越境EC市場の動向

マクロ的観点=インターネット利用人口から見てます。
日本ではインターネット利用率:80%程度と、ほぼ全世帯に普及された感があります。
他方、中国では50%程度とまだ低い利用率です。
貧富及び地域間格差があるからと推測されます。
経済産業省の調査によると、中国人消費者による日本・米国からのEC 購入額は1.2 兆円と非常に高く、2018 年までには2.7 兆円規模にまで拡大すると予測されています。
特に、25〜35 歳の高学歴(大卒以上)・高収入(月収:5,001 民元以上)・主要都市(北京、上海、広州等)在住者の消費意欲が旺盛のようです。
商品別にみると、1 位:アパレル(16.0%)、2 位:化粧品(12.9%)、3 位:ベビー・マタニティ用品(12.6%)の順で多くなっています。
特に、模造品が出回る中国国内では、時間を要してでも良い物・正規品が欲しいというニーズがあるようです。

業務提携がもたらす効果

今回の日本郵政・ファミリーマート提携では、主に物流面での改善が期待されています。
具体的には、訪日外国人観光客の購買心理ハードルを引き下げる効果です。
現在越境ECではEMS(国際スピード郵便)が広く利用されています。
EMSは基本誰でも利用することができ、さらに保証も効くというメリットがあります。
ただし、EMSにも弱点はあります。
例えば、重量物の場合は航空便のが安い、郵便局での事務手続きが煩雑、といった具合です。
この点、コンビニである程度自動化された荷受が実現されるのであれば、外国人観光客にとって便利となるでしょう。
また、海外に多くの実店舗を持つファミリーマートなら、商品受取面において消費者利便性は向上すると考えられます。
さらに、両社の物流ネットワークを活用すれば輸送コスト削減も期待できるでしょう。

ネットショップでの活用

では、今回の業務提携で、私たちネットショップ経営者にどんなメリットがあるでしょうか。
結論からいえば、残念ながら、直近で享受できるメリットは薄いと考えたほうが良いでしょう。
なぜなら、本業務提携が想定しているビジネスモデルがネットショッピングを想定していないからです。
つまり、今回ターゲットとされる消費者とは、「訪日観光外国人が日本でショッピングをし、コンビニを介して自国へ商品を発送する」ことを念頭に入れられています。
これには、①訪日外国人にとって輸送の手間を軽減できる、②ファミリーマートへの入店客数を増加させる、という2つメリットがあります。
よって、オーソドックスな越境EC=日本製品をインターネットを介して海外へ輸出販売する、というイメージとは少し離れてしまいます。
しかし、将来的にはネットショッピングでの展開、すなわち、ウェブサイトで商品を注文し、現地で受取るといったサービスの展開もありえるでしょう。
日本郵政とファミリーマートの今後の動向に注目です。

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